中国の人たちと「今」を会話するために抑えておきたい中国SNS
2021-10-28 中国のビジネスや文化・マナー

中国語ウォッチャー・ライター
白圭HAKUKEI

皆さん、こんにちは。今回は前回書いた記事の続きになります。
前回の記事はこちら
前回の記事では中国語での会話能力の向上には、中国の社会に対する理解が重要、という事を述べてまいりましたが、そうした社会理解のためには中国のニュースやホットな話題をチェックしておきたいところです。
そこで役立つのが中国のSNS。
今回はその中国のSNSについてご紹介します。
目次
中国独自の環境で独自の発展を遂げる中国のSNS
ご存知かと思いますが、中国のSNS環境は日本のそれとは大きく異なります。
日本ではFacebook、Twitter、Instagram、LINEそしてTikTokといったSNSが日常的に使用されています。
しかし、ご存知のようにこれらのSNSは中国国内において使用することができません。
そこには中国が日本とは全く異なる政治体制によって運営されているという背景があります。
上記のSNSはTikTokを除けば、すべて中国の外で開発されたものであり、海外の情報が無条件に入ってきます。
そうした情報の中には中国とは異なる政治的な価値観などが含まれていること、一部は現在の体制に対して批判的な内容も含まれてもいます。
高度に統一された思想による一体化した国づくりを目指す中国にとって、これらの情報の流入は看過しえないものなのです。
そのため中国国内においては上記の、我々が一般的に使用しているSNSは使用できない状況にあるのです。
その代わり中国では中国独自のSNSが急速に普及しているばかりでなく、海外とは異なる独自の発展を遂げ、社会にとって欠くべからざるものとなっています。
そのため中国SNSの状況を知ることは、すなわち現在の中国社会を知ることになるのです。
中国の代表的なSNSと使い方のポイント
微博(Weibo)
日本のメディアではよく「中国版Twitter」などと呼んでいるSNSです。「Twitter」と比較されるのは、当初投稿できる文字数が中国語で140字に限られていたためです(現在は文字制限が取り払われています)。
中国SNSの草分け的存在のSNSで、自身の近況や気になる事柄についての発言を投稿したり、他者の投稿内容などを閲覧することができます。
(微博はオープン型のSNSなので、フォローしていなくても相手の投稿を見ることができます)
中国の友人や好きな芸能人のアカウントをフォローするのももちろん良いのですが、中国の大手新聞社や興味のある領域の専門メディアの公式アカウントをフォローしておくと、短く要約されたニュースが数多く流れてくるため、中国国内でどういった社会的な事件があるのかを手軽に読むことができます。
またハッシュタグを使った「微博話題」という機能があり、そのタグの付いた投稿記事が1つのページにまとめられています。
PC版ではその中から人気の話題が「微博熱捜」というランキングとなって表示されます。これはつまり、多くのユーザーが気にしている話題、中国の人が関心を持っている話題と言えます。
微博を見るときの注意点ですが、特に社会的ニュースに関する内容の場合、その投稿に付けられたコメントにも目を通すと、社会的な「論調」や一般的な「意見」を知ることができます。


微博(Weibo)はこちら
微信(WeChat)
微博を「中国版Twitter」とするならば、微信は「中国版LINE」となります。友人同士でフォローし合い、気軽にチャットトークをすることができるSNSです。
また「朋友圏」はLINEのタイムラインのように、フォローした相手の近況投稿などを閲覧することができる機能です。
これだけ見れば「LINEの代用品」のように思われますが、微信はもっと深く中国の生活に浸透しています。
例えば支払い機能。
大都市であればどのお店でも微信支付(WeChat Pay)に対応していますし、個人間でのお金のやり取りも微信を介して行われます。
さらに公共料金の支払いもWeChatを利用して行われますし、多くのブランドはアプリ内プログラムである「小程序(ミニプログラム)」を使用して微信内に店舗を開設、ユーザーはそこから直接商品を購入することができるようになっています。
「中国の人は、お財布は持たなくてもスマホは絶対に忘れない」とよく言われますが、それを可能にしたのが微信なのです。
おススメする手法としては、やはりメディアや人気ブランドなどの公式アカウントをフォローしておくことでしょう。
メディアの中には微信専用に展開しているメディアもあり、公式アカウントを使って情報発信を行っています。

WeChatはこちら
小紅書(RED)
すでに中国版Twitter、中国版LINEと登場しましたが、この小紅書(RED)は中国版Instagramです。
数枚の画像とテキストを投稿することがでますが、微博よりもより大きく表示され、また投稿時の画像加工なども可能。
この小紅書で知ることができるのがトレンドです。特に同SNSユーザーの6割が女性。そのためにファッションコーディネートやコスメ、ファッショアイテムなどの投稿が数多くあります。
中国の消費者はこうした「実際に購入した人の投稿」を読むことで商品の良し悪しを判断し、購入を決定するという習慣があります。
そうした中国消費者からすれば、豊富な使用者感想を読むことができる小紅書は情報収集に最適なのです。
またネット上で一気に火が付くお店やスポット、商品の事を「網紅店」や「網紅点」、「網紅商品」と呼びますが、そうしたものの起爆剤となる事があります。
人気のカフェ、レストラン、SNS映えする店構えのコスメショップなど、数多くの有名スポット(ショップ)がこのアプリ上で、インフルエンサーを通じて誕生しているのです。
同時にこのSNSでは新たな言葉、中国のネット用語を生み出す場ともなっています。
例えば「種草」。これは「SNSの商品体験投稿を見て商品購入欲を起こさせる」という意味。特にメイクアップ商品の複数ブランドの比較記事などはよく読まれているコンテンツのようです。
もし消費材メーカーのお仕事をされており、中国に興味を持っているのであればチェック必須のSNSと言えるでしょう。

小紅書(RED)はこちら
抖音(Douyin)
そして近年注目されているのが抖音(Douyin)です。よく「中国版TikTok」といわれますが、実は抖音が先に中国で開発、登場し、それを海外版にカスタマイズし打ち出したのがTikTok。つまり両者は兄弟・姉妹のような関係です。
音楽に合わせたショート動画を投稿することができるこのSNSは、特に自己表現や自己承認欲求の高い若者世代の心をとらえ、爆発的に広がりました。
このSNSでは若者のトレンドを見ることもできますが、やはりチェックしておきたいのがCCTVやそのほかニュースメディアの公式アカウント。
多くが現在注目されるニュースをショート動画の形式で配信しており、それを拾って聞くだけでも社会理解だけでなくヒアリングのトレーニングにもなります。
さらにこのSNSは海外(中国以外)で普及しているTikTokとは異なり、「抖音小店」というEC機能がついていること。
同SNSを開発しているバイトダンス社は2021年に「インタレストEC」という新たなEC概念を打ち出してEC機能を強化しています。
そのためこのECと連動したブランドのプロモーションにも広く活用されており、中国で現在流行しているファッションブランドやコスメブランド他、流行の先端を見ることができます。
こうした流行も中国の人たちとの会話の重要なテーマ。把握していることで会話の幅を広げることもできます。
種類ごと微妙に特徴(ユーザー属性や投稿内容)が異なる中国のSNS。
広く把握しておくことで中国の社会に対する理解に役立ち、中国の人との会話もきっと弾むはずことでしょう。


抖音(Douyin) はこちら
それでは、今回はここまでです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

白圭 HAKUKEI

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