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中国の女性たちに広がる家庭薬膳「養生」で内側から美しく

blankこの記事を書いた人
中国語ウォッチャー・ライター
白圭HAKUKEI


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中国でよく使われる言葉に「民以食為天(min2 yi3 shi2 wei2 tian1)」という言葉があります。
純粋に書き下せば「民は食を以て天と為す」

つまり人にとって「食」というものは非常に重要だ、という例え。
中国が自国の食文化に高い誇りを持っていることをうかがわせてくれる言葉です。

同時に中国は漢方医学発祥の地。そしてその漢方には「医食同源」という、医療と食を一体化させる思想が存在しており、日本でもよく聞く「薬膳料理」というものも存在しています。

今回はそうした中国の食と健康の関係から、中国で一般家庭に広がる漢方食の様子をのぞいてみましょう。

中国の家庭漢方食。広がる先は…

我々日本人にとって「薬膳」というと、なかなかハードルが高いイメージがありますが、中国では形を少し変えて一般生活に浸透しています。

例えば食生活の中であるのが、食べ物中に「熱」と「寒」の2種類がある、というもの。
これは食べ物の温度ではなく、体内に入った際にどういった効果をもたらすかによって決まるもので

・血流・気脈を活発にさせる⇒「熱」
・ 収縮させる⇒「寒」


といった意味合いがあります。

例えば生姜や根菜類(大根など)は体内の気脈を活発にさせる効能がある「熱性」の食べ物として知られています。
逆に「寒性」の食べ物としてはきゅうりが上げられ、中国では夏の暑い時に熱が体内に籠るのを避けるためにきゅうりが食べられます。

「熱性」の食べ物を食べるのがいい、「寒性」の食べ物が悪いというわけではなく、双方のバランスをとるのがいいというのが漢方の考え方です。

体内で熱が過度に籠ってしまうため起こる不調、例えば皮膚の吹き出物や湿疹、口内炎、頭痛、めまいなどを中国では「上火shang4 huo3」と呼びます。
こういう症状の時には「熱性」のものを避けたり、寒性のものを食べたりして体のバランスを整えます。
前述のように熱がこもりやすい夏場にきゅうりを食べるのもその一つです。
このような「上火」状態を解決することを「瀉火xie4 huo3」と呼んだりします。

また、有名な上海ガニは「寒性」の食べ物。体を冷やす効果があるので、食後は「熱性」である生姜を入れた生姜茶を飲むのが習慣となっています。

このように、中国では体内バランスを食べ物によって整えるという考え方が生活に浸透しているのです。

昨今は上記のような中国漢方的思考の食生活をさらに突き詰める食事も注目されています。
それが「養生yang3 sheng1」というもの。いわば「現代家庭薬膳」で、漢方薬剤を使ったお粥やスープなどを指します。

こういうと「お婆ちゃんの健康レシピ」のような古臭い印象を持たれるかもしれませんが、実はこの「養生」を熱心に研究しているのは若い女性が多いのです。

前回ご紹介した中国で人気のSNS。その中で女性から強力な支持を集めているのが体験共有型SNS「小紅書xiao3 hong2 shu3」です。

このSNSは20代30代の女性が中心ユーザーで、人気化粧品やファッションコーディネートの体験投稿が多いことで定評がありますが、コスメやファッション情報に混じって、数多くの「養生」レシピ、お粥レシピやスープ、お茶レシピが写真や動画とともに投稿されています。

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こうした家庭薬膳ともいえる「養生」レシピは、中国女性が体の内側から美しくあるための美容レシピなのです。

中国では身近に購入できる漢方食材は多い

このように漢方をベースにした食事が浸透しているのは、こうした食材が手軽に手に入る環境にあります。

中国のスーパーでは、漢方食材に類するもの、例えば「枸杞gou3 qi3(クコの実)」や「紅棗hong2 zao3(ナツメ)」などが、なんとスーパーで普通に売られているのです。

これらは血流を整えるといった効果のある漢方素材。日本のスーパーで見かけることは非常に稀ですが、中国では「食材」として店頭に並べられています。

こうしたものを買うのは、日本でちょっとした「乾燥しいたけ」を買うようなイメージに近いかもしれません。

筆者も上海在住時に、スーパーで緑茶の茶葉に加えて乾燥の菊の花、クコ、ナツメ、陳皮などを買いそろえ、それらに角砂糖を混ぜて「オーダーメードの八宝茶ba1 bao3 cha2」を作って飲んでいたことがありました。

いずれも価格も手ごろで、またスーパーでの定番。簡単に手に入れることができるのです。

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八宝茶(写真はイメージです)

徐々に増えるお手軽漢方美容サプリ

こうした一般家庭料理以外に、当然のことながら本格的な漢方美容食材も数多く存在しています。

例えば「燕窝yan4 wo1(燕の巣)」「阿胶e1 jiao1(ロバの皮の煮凝り)」といったもの。
いずれも美容に良い食材として古くから珍重されているものです。

もちろん値段も高く、決して「お手頃」とは言えませんし、以前はこうした漢方食材は「生薬」という加工されていない形で販売されていて、家庭で気軽に楽しむことはできませんでした。

しかし、近年は高まる美用ブーム、特に内側からの美を保とうというニーズにこたえる形で、手軽にこうした高級美容漢方食を摂ることができる商品が開発されています。

その代表格が燕の巣ゼリーの「小仙炖xiao3 xian1 dun4」です。

同ブランドはこれまで加工が大変だった「燕の巣」を小型の瓶詰ゼリーにした商材。

燕の巣(イワツバメの巣)は中国でも古くから不老長寿の漢方商材として使用されていますが、現代医学でも人の免疫力アップにつながる「シアル酸」という物質が非常に多く含まれていることが明らかになっています。

このシアル酸は年齢とともに体内で減少していくため、そのシアル酸を多く含む燕の巣を摂取することはアンチエイジングにもつながるともいわれているようです。

「小仙炖」ではそんな燕の巣ゼリーをオシャレな瓶に詰めした商材。
45g入り、70g入り、100g入りの3種類が用意されています。

手間がかかった加工を自分ですることなく、かつ持ち運びできて、蓋を開ければ気軽に食べることで世の女性たちの注目を集めました。

ちょっとおしゃれな外観も、伝統漢方の古臭さを払しょくし、ホワイトカラーの女性に浸透しています。

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また同じく伝統素材である「阿胶」においては、老舗ブランドである「東阿dong1 e1阿胶」も商品開発に力を注ぎ、比較的若い女性も気軽に摂れる商品を売り出しています。

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健康的な美しさを求める中国の女性を中心に広がる漢方食。その勢いはとどまるところを知りません。

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白圭 HAKUKEI

東京在住の謎の中国ウォッチャー。自称「東瀛狂人」。 華東師範大学の本科、碩士過程に留学。卒業後は現地で就職するなど20年以上中国と日本に関わる。 また時折、都内の「日本語があまり通じない中国料理店」を探しては出没する。 「意識と目線は低く!」をモットーとした中国ライターとして、中国の社会、消費ネタからB級以下のネタまでをこよなく愛しつつ、常に中国情報をウォッチして別名義にて日本向けの中国情報を発信中。 好きな中華料理は「鍋包肉」、好きな中国のお菓子は「琥珀核桃」。